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中高年が独立開業で失敗するリスクを半減できる12の方法

「独立開業して自分の店を持ちたい」起業を考えるときに出てくる選択肢です。何から始めたらいいのだろう?インターネットで調べてみます。

「夢の独立開業ができる」「自分のお店をもって夢を叶える」「未経験者でも◯◯が開業できる」「手に職をつけて第2の人生を手に入れる」「初心者からでも年収1000万円以上が稼げる夢のある職業」「自宅で手軽に開業できる」

独立開業支援のページにはその気にさせるキャッチコピーが並んでいます。

パン屋、ラーメン店、ピザ屋、クレープ屋、すし屋、お好み焼き店、焼きとり屋、そば屋、カフェ、バーといった飲食店関係。

農業、伝統品制作、家具づくり、靴修理、服飾ファッション、クリーニング、整体、マッサージといった多岐にわたる職種。

世の中にはさまざまな開業講座やパッケージが存在します。さあ、どれにしょうかと考えたりします。

独立のリスクとはどんなことでしょうか?

「売上が上がらず手持ちのお金がなくなること」「資金を調達したけど結局行き詰まってしまって借金だけ残ってしまうこと」「お金がなくなって自己破産すること」「ビジネスは始めたけどお客さまがとれないこと」

こんな答えが返ってきたりします。

本記事では中高年が独立開業を考えるときに「これだけ知っておけば失敗リスクが軽減する」ポイントをまとめています。

独立開業と起業は似て非なるものと理解する

「独立開業」して店舗をもつ。一見自分の足で立った感じがします。本当にそうでしょうか?

例えばフランチャイズで店舗をつくったときを想像してみてください。開業ノウハウが詰め込まれた中で立ち上げるのは何もない状態からよりははるかにやりやすいです。

ただあくまでそこにあるのは既存のパッケージ。誰かが敷いたレールの上に乗っかっていることになります。実際に店舗運営を始めるとワクワク感がなくなっていきます。本部の指示まで飛んできます。

「会社を辞めたけど結局誰かに言われて動いているような気がする・・・」そんな気持ちになると何のために開業したのかわからなくなります。

一方「起業」とはどういうことをいうのでしょうか?起業とは呼んで字のごとく「自分で仕事を創り出す」ことです。自分で創り出していく過程はめちゃくちゃたのしいものです。もちろん試行錯誤します。でもいろいろやるからこその醍醐味があります。

誰かが敷いたレールの上に乗っかっていて心からたのしいと思えますか?独立開業支援講座はあくまで自分が主体となって材料を得るところでしかありません。そのまますべてを鵜呑みにしてやっても意味なし。

「そうは言っても自分でゼロから立ち上げるなんてそんなことはできない・・・」もしそう思っているのならサラリーマン脳で考えているという状態。まず起業家脳をインストールしていくことから始めましょう。

会社をいきなり辞めない

まずお金のリスクを避けるにはどうしたらいいか?答えはサラリーマンを続けながら準備をしていくことです。サラリーマンであるかぎり毎月の給料があるのでお金のリスクはありません。

いろいろとやってみて軌道に乗りそうになかったらそのままサラリーマンでいたらいい。ネガティブな言い方ですがこれで失敗は回避できます。

準備中の失敗はありません。というより想定される失敗は準備中にすべてやってしまうくらいの気持ちを持つのが大切です。失敗をすることで学びが得られます。次に同じことをしないようになります。これこそが本当の成長です。

実際に準備を始めると、人とのつながりなど見える世界が一変するします。それだけでも価値のある活動だと気づきます。もっと早くやっておけばよかった・・・会社から外へ目を向けたとき、つくづくそう感じることでしょう。リスクだけではないことも知っておきましょう。

3つの思い込みをリセットする

☑独立はお金をかけないとできない
☑独立は会社をつくらないといけない
☑独立は店を構えることからはじめないといけない

サラリーマン時代の思考パターンは必ずこの3つにとらわれています。失敗のリスクを減らすにはこの落とし穴の中味をちゃんと知っておくことです。これさえ知っておけば失敗のリスクは激減します。

思い込み1;独立はお金が掛かるもの

「独立起業するのにはお金が要る。だから資金調達をしないといけない。資金調達の方法を教えてください」

こんな相談がよくあります。資金調達が当たり前と思い込んでいる人がめちゃくちゃ多い。たしかにお金は必要です。でも勘違いがあります。個人事業主で小さく始め。在庫も抱えることなくビジネスをつくれば資金調達の必要はありません。

自己資金の範囲内でできるだけお金をかけずに立ち上げる方法はいくらでもあります。

店舗を構える前にネットショップではじめる。在庫をもたずに受注販売にする。自分自身を商品にする。

人を雇ったり事務所を借りたりは軌道に乗ってからで十分です。それよりまずお客さまを集めることに注力します。最優先でやらないといけないことは、お客さまを集める仕組みをつくってしまうことにあります。

ちなみに僕は起業するときは資金調達をしていません。それまでの少しの蓄えをもとに最初は個人事業主として開業しました。事務所は当面自宅。コンサルタントなので在庫も不要。住所が都内ではなかったので1年ほどしてバーチャルオフィスを借りることにしました。お客さまとのやりとり上、都内の方がいいというだけのことです。

最初のうちはお客さまとの商談や移動の合間の仕事や作業もカフェでやっていました。事務所はなくても大きな支障はありませんでした。独立当初はできるだけ固定費をおさえることが重要。見た目より実をとります。稼ぎが出始めたらいくらでも器を変えていけばいいだけのことです。

小さく始める。まずは身の丈で基盤をつくる。とても重要です。借金はできるだけしたくないえすよね?借金でスタートすることを前提にしてはいけません。

借金を抱えると返済に追われて仕事に忙殺されます。資金繰りに困り首がまわらなくなって行き場を失ってしまいます。そんな状況は絶対避けてください。

投資をしないと売上はつくれない、そんな考えがあるのなら時期尚早です。もし身の丈でいくのなら最初から投資なんて必要ありません。できるだけ初期投資をおさえてお金をかけずに起業するやり方を知っておきましょう。

思い込み2;独立は会社をつくること

独立起業イコール会社をつくることと思っている人がとても多いです。

事業を行う形態には法人と個人事業主の2つがある。法人化のメリットは社会的信用が得られること。開業後お客さまになる人が会社でないと取引をしないという条件ならば、法人設立は必須になります。

個人を相手にするビジネスなどそうでないのなら最初から法人にする必要はありません。個人事業主でスタートすればいいのです。個人事業主で数年やって売上や集客の基盤をつくってから、必要性が出たら法人化するで十分です。

会社設立は単なる手続きにすぎません。セミナーで会社設立の方法を学ぶなんて要りません。もし知識をつけておきたいのなら会社設立の本を一冊読んでおけば十分です。

もちろん自分で法人設立の手続きをすることもできます。でも独立に際し、学ばないといけないことや手間がかかることが他にたくさんありあmす。手続きは行政書士や司法書士の専門家に報酬を払って任せるのが賢明です。

店舗、事務所、会社を立てて大きくしたいのか。それとも自分と家族が食べていけ、少しだけぜいたくができるレベルでいいのか。さらに言うと独立起業することでどんな人生をつくっていきたいのかがものさしです。

従業員を抱えて、毎日仕事に追われて、多忙な日々を過ごし、家族と過ごす時間がなくなる。そんな毎日がいいですか?

それとも家族と過ごすことを最優先に考えそのために仕事をする。稼ぎはそれなりでいい。お金はできるだけかけずに起業を軌道に乗せる。そんな毎日がいいですか?

決めるのは自分の価値観です。何のために独立起業したいのか?「起業の先にあるもの」をきちんと見据えてください。

思い込み3;独立は箱をもつこと

「カフェをやりたい」「飲食店をやりたい」「ジムを開きたい」・・・創業、開業というとこんな声をたくさん聞きます。こうした人に共通するのが独立起業は店舗を構えることと思い込んでいることです。ここには大きな落とし穴があります。

飲食店をはじめることを例にしてみましょう。店舗をどこに出店しどんな業態にするのかから考えはじめます。物件が見つかったら、物件取得費、内装工事費、開業に伴う諸経費などが発生します。自己資金だけでまかなえるケースは少ないので借り入れをすることになります。

店舗がオープンすると、仕入をどうする、在庫をどうするといったことが日々発生します。まったくの未経験分野だったとしたらこれらに加え日々新しい仕事を覚えていかないといけません。

アルバイトを雇ったらその人たちのオペレーションや教育もしなければなりません。毎日雑務に追われながら資金繰りに四苦八苦。何よりお客さまが来てきてくれるのか否か。ここに一番頭を悩ます毎日です。

箱だけつくってあとからお客さまを集める、こんなしんどいことはありません。固定費だけかかって売上がなかなか上がらないという悪循環に陥るからです。

夢を描いて開業したにもかかわらず1年目で借金を抱えて廃業・・・最悪こんなことも起こります。独立起業は店舗ありきではありません。その前にお客さまをどうやって集めていくかを考えていきましょう。

単に興味がある程度で始めたらNG

飲食店は外からだと一見たのしそうに見えます。「こんなお店を自分も持てたらたのしそうだなあ・・・」そんな想像をしたこともあるでしょう。

ここが最初の落とし穴です。「料理は未経験。パンを食べるのが大好きでなので作るのにも興味があった。だからパン屋さんをやってみたい」「ものをつくることに興味がある。自分で作ったものを店舗で売ってみたい」よくあるケースです。

ちょっと面白そうだけで始めるのはNG。事業にはずっとやり続けていく覚悟がいります。そもそもなぜパン屋なのか?ラーメン屋をやりたいのか?靴修理を通して何をしていきたいのか?

店舗をもった先に自分がありたい未来はどんなものなのか?「なぜその仕事を選んだのか?」その理由を明確にしておくことが最優先課題です。

仕事を選ぶ理由は一時の思いつきだけで考えてはいけません。自分の人生を振り返って心の内側から湧き出してくるものは何か?じっくりと掘り下げていきます。そしてそれとリンクするものを自分軸にしていきます。

生半可な気持ちで事業をやり続けていくことなんて絶対にできません。

「そのことを考えていたら居ても立っても居られない」「四六時中、頭の中にある」「気がついたら熱くなっている自分がいる」「ワクワクが止まらなくなる」

そんなテーマを見つけること。ビジネスは継続してはじめて成功です。「細く長く」がキーワード、覚えておきましょう。

開業資金◯◯万円から夢の店がもてる!の裏側にあるものを知る

「開業資金100万円から低いリスクでできる!」こんな謳い文句に踊らされてはいけません。

よくあるフランチャイズ方式だと加盟金+保証金で100万円といったものがあります。でも実際はこれ以外に店舗の敷金、家賃、光熱費、仕入れ、人件費、広告費など店舗運営に伴う諸費用が発生します。

何より忘れがちなのが当面の生活費です。独立したら3年はまともに食えなくても仕方ないくらいの気持ちでいてください。その間どうやって生活していくのか。蓄えや収入を得る手段を考えておく必要があります。

開業時はできるだけお金を掛けない

開業1年目で40%が廃業するという統計があります。このほとんどは開業費用を掛け過ぎているのが理由です。

「1年で数千万円の借金を抱えたまま廃業する人がごろごろいる。見るに堪えない状況。この現実を何とかしたい」

知り合いの商工会議所経営相談員は話していました。創業塾では資金調達の仕方を教えていたりします。ここに落とし穴があります。金融機関はお金を貸すのが仕事です。融資が通るか否かが成功のポイント・・・なんて考えていたら今すぐ改めることです。

箱でなくお客さまを集めることを先に考える

Aさんは大のジャズ好き。大好きなジャズをながすカフェをつくりたい!そんな思いで郊外にジャズバーをオープンしました。

内装にはこだわりました。自分なりのオリジナル設計で600万円程度を投じてリフォームしました。これ以上の空間はないという代物に仕上がりました。

ところがオープン後は閑古鳥が鳴きました。「ビラ配りとかイベントとかやってみたらどうなの?」周囲の人はアドバイスしました。

「そんな必要はない。最高の空間をつくった。ジャズ好きなら来てくれるはずだ・・・」アドバイスに聴く耳を持たずAさんは動きませんでした。半年後、お店は廃業に追い込まれました。Aさんの手元には多額の借金だけが残りました。

フィットネスジムを開設したBさんがいます。「お店を持ちたい!」彼が開口一番に出した言葉でした。最初は物件をどうして見つけていったらいいか、融資を受けるのに手続きはどうなるのかといった相談をしてきました。

たしかに店舗を構えるのに必要な段取りはあります。でも本当にそこから始めるのでいいのかを説明しました。

「まずはお客さまだ!」そのことに気づき方針変更することにしました。それからホームページを徹底的に育てていくプロセスが始まりました。その傍ら、実際のレッスンは町の施設を借りて行うことにしました。

こうして始めた集客活動。日々継続する専門家コラムを読んだ人がファンになり、ジム開設時にはランニング費用をペイできるほどお客さまを確保することにつながりました。

その後も毎日コラムを書き続けることでホームページを営業マンに育て上げ、行列ができるお店になりました。「あの時いきなり店舗を構えていたらどんなことになっていたか・・・考えただけで怖ろしくなる」彼の後日談です。

実店舗を構える前に商品サービスを試してみるのも一手です。週末イベントで感触を得てみる、ネットショップで売ってみるなど方法はいくらでもあります。

いきなり店舗を構える前に手を打てることに最善を尽くす。その中でも一番注力すべきはお客さまを集めていくこと。当たり前のようですがこれができない人があまりにも多い。しっかりおさえておいてください。

まずは先人の型を徹底的にパクる

世の中にはたくさんの情報があふれています。「このセミナーではこんなことを言っていた」「別の講座ではこんなことを教えていた」「本にはこう書いてあった」ツギハギの情報をつなぎ合わせてやろうとする人もいます。

事業を興していくときは自己流ではうまくいきません。まずは先人の型をそのまま学び、素直に実践することが大切です。

ここで一つ注意点があります。講座の中には講師自身が成功失敗経験をもたずに「こうすれば成功する」と理屈だけを並べているものもあります。そういう類は単なる儲け目的の講座ビジネスでしかありません。講座を見極める際、講師に実体験があるのか否かを見定めるようにしてください。

型をつくったら、自分流のオリジナリティを加えていく

成功実績をもっている人から型を学び、素直に実践する。その次にやってほしいことが「自分らしさ」「個性」を追加していく。自分らしい店づくりとは何か?どんな人にどうしていきたいのか?それはどんなことから始まったのか?自分のお店ならではのストーリーが生まれてきます。

茶道、武道、芸術関係の師弟関係のあり方に「守破離」という考え方があります。

まず師匠に言われた型を「守る」ところから修行が始まる。次に型を自分と照らし合わせて研究して自分に合ったより良いと思われる型をつくり既存の型を「破る」。最終的には師匠の型と自分がつくり出した型の上に立脚すれば、型から自由になり「離れ」て自在になることができるというもの。

「離」がいわゆる独自性です。独自性があってはじめてビジネスは成立します。

学ぶべきは技術だけでなく集客ノウハウ

「おいしいラーメンをつくれるようになった」「修理技術を完全にマスターした」「施術ができるようになった」

いくら技術を習得したところで、お客さまがいなかったらビジネスはまわりません。開業講座に通うと技術や知識のみを教えているケースが大半です。それだけでは片手落ちになります。

何より重要なのは集客できるノウハウを身に着けることです。単に広告費をかけるということではありません。広告費頼りになるといずれ資金は尽きます。これまで成功している人がどんな集客方法を行ってきているのかを学ぶ努力をしてください。

ビジネスは「だれが」「どうなる」が軸

あなたのお客さまはだれですか?商品サービスを買ったらお客さまはどうなりますか?

「顧客と提供価値」この2つが明確に決まっていないビジネスは上手くまわることはありません。まずどんな人にお店に来てほしいのかを具体的に考えることが第一歩。

とにかくいろんな人に来てほしい・・・これではNG。いろんな人に来てほしいでは結果誰も来ません。お客さま像は具体的であればあるほど良いです。なぜなら具体的にしないとその人の欲求がわからないからです。

商品サービスはお客さま個々の欲求を受け止め、こうなりたいを満足させるものです。ビジネスの2つの軸を組み立てることを忘れないでください。

独立開業はお金を使えば誰でもできます。意識を置かないといけないのは開業した後です。事業として継続できるか否か、これが最重要テーマになります。開業時の華やかさだけに惑わされてはいけません。あとで大変な事態を招くことになります。

会社との新しい関係づくりにトライする

全く発想を変えてやってみる方法もあります。今いる会社との関係を変えてみるやり方です。

正社員という雇用形態をはずし業務委託という方式に変更します。今やっている仕事はそのままに勤務時間や制約を減らす。その中で決められた仕事をきちんとこなす。結果業務効率も上がる。会社にとっては社会保険や雇用保険などの固定費がなくなるのでコストメリットは大きいです。

独立起業を考えはじめると会社の仕事がつまらなくなります。極端なことを言うと昼間の仕事は上の空なんてこともあります。会社を辞めたいとモチベーションの下がった社員を抱えていても会社には良いことなんてありません。

今の時代、会社の組織にしばりつけるなんてナンセンスです。組織に属することを価値観に置く人はそれでいいです。でも個人としてやっていきたい人には合いません。

重要なことはいかに個人の力をひきだし全体を活性化するかです。その人の価値観にあわせ仕事さえきちんとやってもらう。割り切ってしまうのも一つの方法です。

コミュニティにも今いる会社と業務委託契約を結んでいる人がいます。業務委託をとりつけた上で起業離陸を果たした人も複数います。当面の収入を得られるので大きくリスクが軽減します。今の日本にはまだまだこんな働き方は定着していません。特に大企業でいきなりは難しいことかもしれません。

働き方が多様化し個人の力をもっと引き出して活気ある社会にするにはどんどん広げていきたい方法です。これぞまさにハイブリッドキャリアと言える働き方。そのことがひいては自律的自由人社会の具体化にもつながります。個人がいきいき活力をもって働いていける場を広げていきたいものです。

まとめ

中高年が独立開業しようと考えたときに陥るよくあるケースを書いてきました。独立開業は手段でしかありません。大切なことは自分がこれからの人生をどう生きていきたいのかにあります。それを具体化するためのどうするか。ありたい姿、自分軸をかためていきましょう。

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