自律した働き方

仕事を辞めたいと思った時のヒントの見つけ方

もう仕事を辞めたい!いろんな理由がそんな気持ちになることがあるだろう。「こんなに一生懸命やってきたのに・・・」悔しい思いもひとしおかもしれない。そんな時視点を少し変えることができたら行動も変わる。本記事ではこれまで真面目にやってきた人が会社を辞めたいと思った時にヒントになる体験談を紹介する。

一生懸命を受け止めてくれる人がいる

独立起業したらサラリーマン時代のことは遠い昔のようになってくる。それだけ濃い毎日を送っているということかもしれない。僕の場合、10年以上も前のことなのでなおさらだ。そんな中サラリーマンだった「あの頃」を思い出させてくれる出来事があった。

セミナーを終えて懇親会の買い出しに行こうかと話しているとき電話が掛かってきた。画面を見ると携帯番号だった。「どこかの人が問い合わせしてきたのかな?」携帯番号の場合はホームページを見てちょっと聞きたくなったというケースが多い。そう思って受話器を取った。

「◯◯会社にいたYと申します。憶えていらっしゃいますでしょうか?」と電話口の声。◯◯会社は僕は10年以上前まで22年勤めていた会社名だ。「えっ?」と内心。「あの、すぐには思い出せませんが・・・」とりあえず答える。

「実は茨城に来ています。そこで昔三宅さんにお世話になったという人と今一緒にいます。いろいろ話していて三宅さんの話になり電話してみようかと掛けた次第です」

「それはありがとうございます」聴いてはいるがまだ誰のことだがわからない。

「Sさんって憶えていらっしゃいますか?」またしてもすぐには思い出せない。「Sさんですか・・・同じ名前の方が複数いらっしゃるのでどのSさんかが定かではないんですけど・・・」歯切れが悪い答え方をする自分がいる。

「じゃあ今Sさんと電話を替わってもいいですか?よろしくお願いします」とYさんからSさんへバトンタッチ。

「あ、三宅さん!お久しぶりです。△△社のSです。憶えていらっしゃいますか?」会社名をきいてピンときた。Sさんの顔が浮かんだ。「あ!Sさんですね!お久しぶりです」何だか懐かしい気持ちになっていった。

「三宅さんには当時大変お世話になりました。うちの取引先のために熱く話をしていただきました。その後いろんな面で役立ちました。個人的には業務改善賞提案のときご指導いただきました。おかげさまでNo2の結果をいただくことができました。本当に感謝しています・・・」

「あ、そうでしたか・・・そんな・・・恐縮です。でもこうしてお声がきけてとてもうれしいです」まったく予想もしないような話にひたすら驚いていた。

「お忙しい中ですが、もしお時間がとれるようでしたら、機会を見つけて一度会ってお話しできませんか?」

「あ・・・よろこんでお願いします!本当にありがとうございます」そう言って受話器を置いた。

当時は支社トップの猛烈なパワハラを受けている真っただ中にいた。それまでの僕は現場としてこれが正しいと思ったら真正面から伝えてきた。トップは僕のやり方が気に入らなかった。出先に着くと電話。出先から出るときは電話。出張先の責任者には上司から僕が何を話したかのウラをとる電話が入る・・・こんなことの繰り返しだった。

「三宅は出先で何をしでかすかわからない。だからすべてチェックしろ!」ものすごい監視下にいた。何かを発言すると帰社したとき強烈な叱責で追い込まれる。毎日毎日。だんだんと萎縮していった。その後うつになっていった。

そんなつらいときに自分が一生懸命伝えたことを理解してくれている人がいた。それも10年以上も経った今になって。こんな有難い言葉を掛けてもらえた。それだけに価値を感じた。当時のことを思い出し込み上げてくるものがあった。心から実感する出来事だった。

その後、現場視点お客さま目線でシンプルに仕事がしたい。その思いも重なって独立した。自分がやりたかったお客さまと向き合う仕事を創っていった。おかげさまで「ありがとう」と言ってもらえるようになった。やりがいを感じる毎日だ。「あの頃」逆境にいても貫いたことが礎になっている。

今、会社ではつらい状況かもしれない。でも自分が現場のためお客さまのために真正面から取り組んでいることには必ず価値がある。苦労はいつか報われるときが来る。そう信じて未来を描いていってほしい。

苦しいことをため込まない

ある日の明け方、夢を見ていた。何だか追い詰められた気持ちになりハッとして目が覚めた。その時の自分は手帳を見ている。そこにはびっしりのスケジュールが書き込まれている。あれもやらないと!これもやらないと!そんな気持ちの中にいる。なのに重要な案件を忘れていたのだ。「上司に怒られる」「どうしよう・・・」一種の強迫観念みたいなものを感じていた・・・

夢の中の話なのであやふやなところはある。ただ大まかにはこんなイメージだった。それから夢を振り返ってみた。たしかにサラリーマンをやっていたとき追い詰められていたことがあった。上司や職場にいついつまでにどうのこうのと指示をされた。プレッシャーをかけられた。それができないと苦しい目に遭った。行き場を失ったときもあった。「もうダメだ・・・」そんなふうに悩むこともあった。

その苦しみって何だったのか?今思い返せばそこまで思い詰めることではなかった。命を取られるようなことでもない。でも当時はそう思えなかった。もうこれができないとダメ人間になる!もうこの世の終わりだ・・・そんな気持ちになったこともあった。サラリーマンという立場から起業家になったことで比べることができるようになった。

今はどうか?手帳にスケジュールがそこそこ書いてあるのは変わらない。一つだけ大きく違うものがある。それはすべて自分がつくったスケジュールという点だ。誰かに言われて立てたものなんて一つもない。全部自分がコントロールしている。サラリーマン時代のような余分なストレスはゼロ。起業家はストレスフリーと言われる理由がここにある。

もちろん良いことばかりではない。すべて自分がコントロールするということはすべて自分に跳ね返ってくることになる。さぼればさぼった分、やらなかったらやらなかった分、ツケがまわってくる。会社が悪いとか誰かがやらないとか言っても何の解決にもならない。責任はすべて自分にある。このバランスがわかった上でメリハリをつけて過ごす。これが起業家の毎日だ。

もし今追い込まれているのなら伝えたい。サラリーマンで言われていることは会社の中でのことでしかない。そんなことで自分がダメ人間なんだなんて思ってはいけない。あなたには可能性がある。今見える世界はそこしかないかもしれない。でもちょっと横に出れば広い景色が待っている。自分をどこかで俯瞰する自分をつくってほしい。

管理職になったときに感じること

管理職という立場になると、本来自分がやりたかった仕事そのものではない仕事が増えてくる。人の管理とか上との根回しといった類だ。特に組織が大きければ大きいほどその傾向が高い。今回はそんな「大企業病」に悩むサラリーマン男性Cさんの起業相談事例を紹介する。

中堅になった。メインの仕事もしている。会社の組織は大きくなった。毎年、タテ割りとルール化が進んでいる。上司は親会社から来たりして、1年、2年でコロコロ替わっている。いつも自分の気持ちと違うところで物事が決まってしまう。このまま昇格して管理職になっても、上の意向を伝えるだけの仕事になってしまう。同僚たちは、自分から考えることをやめ、会社に言われたことだけをやっている。まさに負のスパイラル。泥船に乗った気分。周囲に影響されずに自分の思うような仕事がしたい。今の自分が独立してやっていけるのか?会社を辞めるとしたらどのタイミングなのか?漠然としているけど・・・

こんな内容だ。まさに会社が大企業病そのものの状態になっている。僕も大手企業にいたのでよくわかる。こうした状況になると仕事そのものの面白みはなくなっていく。どうやって上との関係をつくっていくか。その時その時で力のある上司にどう取り入るか。そんなくだらないことばかりがはびこってくる。
 
そのながれに順応する人もいる。組織の中をうまく泳ぎ回り、ものが言えるポジションになるまで我慢し、権限の範囲内で自分ができることで満足する。サラリーマン世界で生きていくタイプだ。一方でそんな煩わしさに違和感を覚え、自分がどうありたいかを貫きたい人もいる。これが起業家タイプと言える。どちらの道を選ぶのか、今回のようなタイミングでちゃんと見極めることをおすすめする。でないとその後の人生を台無しにすることになる。

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