一人商い|身の丈起業

身の丈起業|新しい仕事アイデアを生み出す発想法と具体例

起業とは世の中にない仕事をつくることです。そのためにはアイデアや発想を柔軟に広げたいもの。多くの場合、集中してやるのがいいとその場にいながらにして考えがちです。でもそれだけでは余計に凝り固まってしまいます。

そんなときはどうしたらいいか?実際に現場でやってみることです。この記事ではアイデアや発想を広げるコツについてまとめました。

実際に現場でやってみる

先日のこと。焚き火料理のコンテンツを思案していました。ああでもない、こうでもない。ノートに書き出しても何も出てこなくなりました。

まさに枯渇状態。もう疲れた!ということで夕食にすることにしました。その日のレシピはぎょうざの皮を使ったミニピザ。

皮の上にピザソースを塗る。その上にソーセージ、ピーマン、トマト、とろけるチーズを乗せて焼く。皮がパリッ、チーズがとろけてきたら完成する。誰でも手軽にたのしめておしゃれでおいしい。参加者の輪がつくりやすい。そんなわけでコンテンツに加えようと考えました。

ピザの上にはいろいろなものをトッピングできる。「チョコとバナナを乗っけたらデザートになるね」「オリーブオイルだけで焼いてもおいしいかも」

食べながら話しているとどんどん出てくるレシピのアイデアたち。その場で書き留めておかないとと必死でメモをとっていました。

もし想像しながら考えていたらどうなっていたでしょうか?現場にいないから発想もできなくなります。一人で思案していても限界があります。

そんなときは第三者のアタマを借りてみましょう。だからといって会議や打ち合わせをやってはNG。みんなでたのしく体験できる場づくりをすることに意識を置きましょう。

さらに重要なことがあります。その場では「何でもアリ」の雰囲気をつくることです。「それやるとこんなことになりそうだから問題があるかも・・・」「いいとは思う。ただ・・・」という発言はタブー。「それいいね!いいね!」と声掛けし合う空気感です。否定からは何も生まれません。

机の上でうーん、うーん唸っていてもアイデアなんて浮かんできません。煮詰まったら実際にやってみることです。やってみるとどんどん湧き出してきます。

そしてそこで出た会話の一つひとつをしっかりメモにおとします。話していることなんてすぐに忘れてしまいます。雑談の中で出たアイデアには他にないとんがり要素が隠れています。

遊び心とノリで考える

新しい事をやるときには型にはめて考えても良いものはなかなか出てきません。その場にいるメンバーがみんなたのしい気持ちになることです。

「こんなことあったらいいな」ドラえもん的なやわらかアタマで考えてください。企画する側がたのしそうにしていると参加する方もたのしくなります。今までにないビジネスは遊び心から生まれます。

メンバーが集まる場を開催しました。午前中なので終わったら時間のある人でランチに行くのが恒例になっています。課外授業と読んでいます。なぜ課外授業?時間外で場所を変えるからこそ新しいものが生まれるからです。

アイデアや発想が広がる場は実は本講義ではない場合が多いです。ランチに行ってお互い他愛のない雑談をしているときや、夕方一緒にお酒を飲んで頭が柔らかくなっているときこそ、フッとアイデアが降りてきます。課外授業はアイデア出しに格好の場です。

季節は夏本番。一人のメンバーが「これからは魚突きに絶好のシーズンです」と切り出しました。彼の趣味は海に潜って魚を突くこと。その話になったらめちゃくちゃたのしそう。話が止まらなくなりました。

そこで獲った魚をどう料理するかの話題になりました。いつもは普通にバーベキュー。とれとれの新鮮な魚。どう調理するとより美味しくなるのだろう・・・話が広がりました。「じゃあシェフに参加してもらってフレンチにしてもらうのってどう?」あるメンバーが言いました。

シェフとは元公邸料理人で三ツ星レストランで働いていた経験をもつメンバーのこと。「海で獲れたばかりの食材でフレンチ。いいねえ~」場が盛り上がりました。「じゃあ、海辺で焚き火は必須ですね」これは僕のワクワクの持ち場です。

「朝起きたら砂浜でヨガっていうのはどう?」別の一人が言いました。もちろんヨガを提供できるメンバーもいます。「一連のながれをプロモーションムービーにして露出してみては?」別の一人が言いました。ここでもムービー制作できるメンバーがいます。

「いいねえ~想像しただけでもワクワクしてくる」まさに妄想状態です。「1泊で浜辺に行く。そこで自分が提供できるサービスを持ち寄って披露し合う。もちろん遊びに行くのが目的だけど」そんな話になっていきました。メンバー一人ひとりの個の力を結集する。一つのながれをつくっちゃう。頭の中に映像が浮かんできます。

「それって現実的にはいろいろ難しいことがあるんじゃない・・・」もしこんなことを言う人がいたらその場は一気にシュリンクします。やるかやらないかの判断は、それがたのしいか、ワクワクできるか、みんなが乗れるかが一番。理屈なんて必要ありません。

ノリの良いメンバー、サービス提供できるコンテンツがあってはじめてできること。とにかくやっちゃおうになりました。課外授業で出た思いつきのネタ。1年後にビジネスになっているかもしれません。「遊びで始めたらいつの間にかそれがビジネスになっていた・・・」こんな世界ってどうですか?

何を買うかでなく誰から買うかに視点を置く

「起業アイデアを考えているけど競合他社がいるのでどうやって差別化したらいいかわからない」「同じようなことをやっているところがあって何が違うかを見つけられない」「自分オリジナルな商品サービスのつくり方がわからない」

よくあるケース、こんなときにどうしますか?

差別化という言葉、初めてビジネスプランを練るときに必ず出てきます。どうしたら差別化できるのでしょうか?答えは「お客さまは誰から買うか」に視点があるということです。

先日テレビで揚げ物を美味しく揚げる機械の話題をやっていました。これさえ使えばアルバイトが揚げてもプロ級の揚げ物ができます。ある牛カツ店はこの機械を導入することで美味しい牛カツの回転率を上げ大繁盛しているそうです。これはこれで素晴らしいことです。

じゃあこの機械をどんどん導入すれば繁盛店が増えていくのではないか?そう思うかもしれません。実はそうとは言い切れません。お客さま目線で考えてみましょう。こうしたチェーン店に行きたいときは行くでしょう。でもそうではないときがあるのではないですか?

「あそこの大将の串揚げは最高だよね」「店主の顔が見たくなったから今晩は店に行こう」こんな気持ちになったことはありませんか?ここで重要なことは作り手、売り手が誰なのかということ。「あの人がやっているから買いたい」そんな感覚です。

日本はとても豊かな国です。情報も商品サービスもあふれ返っています。おそらく必要としているものはほぼ充足しているはずです。そんな中、何がさらにほしいのでしょうか?それは画期的な商品サービスよりも、どうやって自分の商品サービスを選んでもらえるかにあります。

既存のサービスを組み合わせてみる

「類似サイトがたくさんあるのですが、よく似た起業ネタでも大丈夫でしょうか?」競合がいるときに起業ネタとしてどう考えるか。まず自分として他社と違う何かを見つけていくことにあります。

類似サイトを見るときのポイントは、自分が利用者として見ることが大前提です。マーケティング調査だとかそんな考えでやっていても意味がありません。大事なのは一利用者としてそのサイトを見てどう感じるかがにあります。

「この商品はいいなあ」「使ってみたいみたいなあ」と思う点があったとします。まずそれをメモで書き出していきます。一方「これはイマイチだよなあ」「もう少しこうだったらいいのになあ」と思う点があったらそれもメモで書き出します。この作業を丹念にやっていきます。

そうすると、だんだん今この業界にはどんなことがあって何が不足しているのかがわかるようになります。良い点はマネし、いまいちだった点の中であなたができそうなことを一つ取り上げてみます。これが他にないもの自分だけの独自性のタネになります。

アイデアは既存のものの組み合わせでできています。世の中にないものをつくろうなんて思わないことです。今あるものにひとひねりする。それを売っている自分のちゃんと伝える。この2つで差別化というキーワードをクリアできます。

アイデアから入らない

「こんな感じでイケそうなアイデアがあります」「ちょっと調べたらあまりなさそうなので思いつきました」「市場もありそうです」「ビジネスになると思いますか?」サラリーマンから起業しようと考えたとき多くの人が陥る思考パターンです。

ここから入ると失敗に終わります。なぜならアイデアから入ると続かないから。成功のために必須の条件は継続していることです。思いつきだけではうまくいきません。

まず自分軸になるものを決めるのが先です。自分軸とは何か?そもそも自分の根っこは何なのか?どう生きていきたいのか?何を大切にしているのか?といった拠り所です。

次に自分軸を具体化するために「専門分野」を立てます。「専門分野」は何の専門家を目指すのかを決めることです。そのために徹底して「自分を知る」ことです。「自分のワクワクの原動力はここにある」「自分の人生の原点はこれ。だからこんな人にこうしてあげたい」を掘り下げていきます。

起業は途中でやめたら失敗です。単なるアイデアで思いついたものは長続きしません。やっているうちに何で自分はこの仕事をやっているんだろう?と疑問にかられるときがやってきます。

こうなるとブレブレ、継続どころの話ではなくなります。続けるためには絶えず前へ前へ向いて進んでいけるエネルギーが必要になります。

好きなことを書き出してみる

起業アイデアを見つける際、軸に置きたいのは「好きなこと」です。起業は何のためにするのですか?自由に生活したたいからですよね。起業してまで自分がしたくないことを選ぶ必要はありません。

人生を振り返って今でも情景が浮かんでくるたのしかったことは何ですか?思い出してください。

小学校2年のときに裏庭に穴を掘って秘密基地をつくりました。学生時代、仲間と一緒に野宿やキャンプで過ごしました。会社員時代、たった一人から100人のプロジェクトに成長それを動かしました。こんな感じです。

次になぜそれがたのしかったのか理由を考えてみます。枠組みなく自由であること。イチから新しいものをクリエイトすること。仲間と一緒に何か成し遂げること。この理由にハマることをシゴトにしていきます。

何をやるかは手段でしかありません。この理由が満たされるようなものをアイデアで企画すればOK。何より大切なことは理由を軸に考えることです。情熱が注げること。これこそまさに「天職」。天職を見つける手順でもあります。

「好きなこと」がより深く自分の専門分野になるよう掘り下げていきます。「好きなこと」にこれまでの経験で「できること」「得意なこと」を掛け合わせます。

好きなことなら少々のハードルがあっても続けられます。途中でやめることさえしなければ必ず成功します。人生を振り返って今でも情景が浮かんでくるようなものは何かを見つけてみましょう。

ある時、トヨタ自動車の創業を描いたドラマをやっていました。佐藤浩市さん演じるトヨタ自動車創業者がアメリカで買った自動車を部品ひとつからすべて国産で作りたい!という熱い思いで工場の有志を集めるところから物語ははじまりました。

なかなかうまく作れない、お金、戦争・・・幾多の苦難がありながら不屈の精神で邁進していきます。そして今のトヨタ自動車の原点が出来上がっていきました。

印象に残った場面。それは夜遅く誰もいない工場の片隅で電気を灯し、社長がたったひとりで油にまみれながらエンジンをさわっているシーンです。子供が目を輝かせながらおもちゃをさわっているような光景。この人はエンジンを作ることが心から好きなんだと伝わってきました。

苦難を乗り越えるには強い精神力が必要になります。でもそれだけでは不十分です。好きだという気持ちが要ります。そのことを考え始めたらワクワクしてくる。いてもたってもいられなくなる。四六時中考えていられる。

心から好きだから情熱が継続できます。これが好きの本質です。

できることよりやりたいことを選ぶ

FAAと出会って1年ちょっと。独立して半年がたちましたが刺激的な毎日を送っています。サラリーマン時代に代表からの「大丈夫」の一言で始まり、毎月の場で仲間と出会い、それが今につながってるんだな~と日々感じています。

僕の場合は好きなことで起業するとは微妙に違うのかもしれませんが、想いの根底には「人のために頑張る」が好きなことなので、好きなことで起業するなのかもしれませんね。手前味噌ながら、元不動産デベロッパーと言う全くの異分野でも行動すれば結果が伴う!という事例です。

できるコトも大事ですが、やりたいコトも同じくらい大事だと思います。そして何よりも同じ志の仲間ってすごいなぁと改めて実感!好きなコトが何よりのパワーの源ですね!

コミュニティOBの体験談です。起業はできることでなくやりたいことをやる。シンプルな話です。やりたいことは何ですか?

飲み会の話をメモる

飲み会の席で出た話をその場でメモる習慣をつけましょう。何で飲み会なの?そう思ったかもしれません。飲み会で出た話にこそお宝があります。

会議の場ではろくにアイデアが出なかったけど、その後の懇親会でやたら話が盛り上がったような経験ってないですか?

こんな例があります。メンバー定例の集まりの場。ここでは3~4人に分かれてお互いのことをブレストし合う。相手のために真剣モードなのでここでも良い話は出ます。ただ弾けた発想までは至りません。

その後近所のファミレスで懇親会。少しお酒も入れながらトークに花が咲いていきます。そんな中、ある一人のメンバーの話題になりました。

彼はそもそもとんがった起業ネタを思案中。みんなの食いつき度合も違います。「こういうのってありじゃない?」「それいいね!面白いと思う」「こんなのもありだよ!」

肯定的な話しか出ないのでどんどん発想が膨らんでいきます。一人のコメントに他の人がどんどん乗っけていきます。

さっきまで会議室で話していた表情とは打って変わった雰囲気です。何かを決めないといけないという制約もありません。飲み会の席ではみんな頭が柔軟になっているからできる技です。

ここで出た話を「いいね!いいね!」でワイワイやって聞き流していたらどうなるか?「面白いアイデアがたくさん出ていたけど何だったっけ?」翌朝起きるとこんな感じです。

有名なエビングハウスの忘却曲線によれば、人は1日で74%のことを忘れてしまうとあります。人は忘れる動物です。飲んでいるからさらに忘却は加速します。

その場でメモっておかないとせっかくのアイデアや発想もすべて消え去ってしまいます。これではもったいないですね。

加えて一度降ってきたアイデアは二度とお目にかかることはありません。そんな時に出てきたものにこそ価値があったりするもの。

だからとにかくその場ですぐにメモをとります。メモするものがなければテーブルの上にあるペーパーナプキンでもいいです。メモ帳かわりとして使われるナプキンスケッチには様々なアイデアの原石が眠っているという話もあります。

どんなときでもアンテナを立てておく。真面目な場であろうが遊びの場であろうが、どこで何をしていても。そういう意味で常に戦闘モード。いつでもスイッチが入るようパソコンでいうスリープ状態でいたいものです。

人生を総ざらい振り返る

人生振り返りノートというものがあります。生まれてから今にいたるまでの人生を文章にして書き出してもらうプロセスをいいます。人生振り返りノートは誰かに見せるために書くのではありません。自分の今を振り返るために書きます。

子供の頃、川であそんだ経験。中学のとき部活に打ち込んだこと。いじめにあったこと。親との関係。大学で海外でふれた新鮮な体験。就職活動で苦労したこと。生まれてきた子供のためにやってきたこと。仕事を任された達成感。会社や人間関係でつらかったこと。節目節目で出会った人。転機になった出来事・・・

人生を振り返るといろいろなことが思い出されてきます。頭の中だけだと何も出てきません。しっかり書き出すことで忘れていたことが鮮明によみがえってきます。

「今の自分はあの時に出来上がったんだ」「自分の中にある本当にやりたいことはこれかもしれない」「これからはこんな人にこうしてあげたい」「人の役に立つことをしてみたい」

そんな思いも湧き出してきます。これまで歩んできた人生そのものが財産です。

頭の中だけだとぐるぐる回るだけ。手書きで紙に書いてみる。なぜ手書きかというとあの時こう考えていたというのが思い出せるから。今日は100個好きなことを書き出す。もうこれ以上出なくなるまでやってみる。そのくらいの気持ちでやるといい。世の中にある新しいアイデアは組み合わせでできている。出てきたものを組み合わせて考えてみよう。

OBのコメントです。

ネタがたくさん出るものを選ぶはNG

ネタがたくさん出るものがいいのでは?ネタ切れしにくいものを選ぶのがいい?たしかにそういう一面はあります。継続して情報発信していく必要があるので、絶えずネタは必要になります。でもそれだけではありません。

ネタ決めで大切なことはそれがワクワクするか、熱量が上がるかです。残業で今日は何もできない・・・そんなときでもワクワクすることなら帰りの電車の吊り広告を見ながら発想が広がったりするでしょう。

モチベーションが続かないと起業準備は頓挫してしまいがち。起業成功に「継続した情熱」ほど大切なことはありません。挙げたテーマはワクワクするネタだろうか?考え合わせながらネタ出しをしていきましょう。

今いる会社で考えてみる

今いる会社で「できていないこと」「あったらいいなと思うこと」をビジネスにできないか考えてみるのも一手です。例えば会社が何かのスクールをやっていたとします。スクールにはリピートしてくれるお客さまとだんだんと足が遠のくお客さまがいます。事業としては全員にリピートしてもらいたいと思っています。

リピートしてくれる人には手厚くできても、足が遠のく人にはなかなかフォローがし切れません。その結果、時間が経過するにしたがって幽霊会員ができていきます。そして知らぬ間に退会してしまいます。

それを防ぐ方法はないのか?幽霊会員になる寸前にきちんとフォローできたら辞めないのに。そういう仕組みがあったらいいなと思ってきた・・・

この「あったらいいな」が重要です。ほんとはあった方がいいけど会社の事情でできていないこと。毎日の仕事に追われて気がついていないこと。現場にいてあったらいいのにと常々感じていること。お客さまの目線に立ったら絶対必要なのに手がまわらないからできていないこと。

この視点は今の仕事に精通している人じゃないとわかりません。会社にはいろいろと制約があります。会社がやりたくてもできていないことにフォーカスしてみます。

今いる会社と良い関係を築けるのがベストです。提携して会社からお客さまを紹介してもらうながれができる可能性があるからです。「今いる会社であったらいいなと思うこと」思わぬチャンスがころがっています。

自分自身が実体験する

以前こんなお話を聴いたことがあります。「小説家になりたいなら一度サラリーマンになれと言われています。社会経験を積むためにね・・・」

職場での人間関係、上司、部下、組織の中で生きる。マネジメント、昇進、昇格、異動、転勤、さまざまな仕事、コミュニケーション、飲みニケーション、通勤電車・・・サラリーマンにはサラリーマンをやらないとわからない世界があります。

起業はアイデアだけでは不足。自分自身が実体験することが大事です。

思いつきはNG

「こんなアイデアがあるんですが、ビジネスになりますか?」「世の中的にこんなことが流行りそうなのでビジネスになるかと思います」こういったご相談もたまにあります。他人がやっていないこと、常識と反対のこと、今あるものにひねりを加えたこと・・・発想としてはいいです。でもそれだけではNGです。

アイデアだけではビジネスになりません。お客さまはどんな人なのか?その人の悩みは何なのか?どうなりたいのか?だれからお金をもらうのか?なぜそれが仕事にしたいのか?なぜ自分にできるのか?他にやっている人はいないのか?それとどこが違うのか?

こうした要素なしで答えは出てきません。思いつきだけはビジネスになりません。本当にビジネスにしたいのなら土台をしっかりつくってください。

ガチガチに決めない

起業アイデアってガチガチで決めなくてもいいと思います。アイデアや自分がやりたいことは時間とともに変わっていきます。僕も最初、何をしたらいいか悩みました。それよりも一歩踏み出すことです。自分と向き合っていきながら。そうする中で見えてくるものです

OBの体験談です。

彼もスタートまでかなりモヤモヤしていました。どっちつかずの日々を過ごしてきました。そんな中、考え方を変えてスイッチが入りました。それまでは話していても停滞ムード。今はとてもいきいきしています。アイデア、自分のやりたいこと探しで止まってしまわないように。誰もが陥る落とし穴です。

同じ志の仲間の力を借りる

コミュニティでは月1回集まってお互いこれまでにやってきたことをシェアし合う場があります。困ったこと、アイデアがほしいことなどを仲間からフィードバックをもらいます。

その日はまさに準備をはじめたばかりのメンバーがいました。「棚卸をやっているんですけど、なかなか思うように進みません。こんなときみなさんはどうしていましたか?」と質問しました。

「仕事以外のこともしっかり書き出してみること。例えば学生時代どんなことをやってきたのか。どんなことが印象に残っているのか。そんな中からヒントが見つかることもあるよ」

「だれをどうしてあげたいかが大切。こんな人を助けてあげたいというのを考えてみては?」

「いろんな人に自分の思っていることを話してフィードバックをもらうといいです」

仲間からのフィードバックはこんな感じです。どれも実際に取り組んだ人ならではの答えです。人は他人のことはよく見えるけど、自分のことはわからないもの。自分一人で考えていても答えが出ないときは仲間の力を借りてください。

アイデアがほしかったら相手の話を聴く

起業家に必要なスキルの一つに相手の話をしっかり聴くというものがあります。「これが今の悩みのタネなんですけど何か良いアイデアはないですか?」ある人がこんな問いかけをしました。

「例えばこんなことをしてみたらどうですか?」周囲の人がアイデアを出してくれました。

「あー、それは難しいんですよね・・・」その人は答えました。「じゃあ、こういうのってどうですか?」「それはやってみたことがあるんですよね」「・・・・・」こんな会話が数回繰り返され、周囲の人は黙ってしまいました。

この人、何を言っても聴く耳持ってないなと思い始めます。アイデアを出してほしいのなら、何か相手に求めるのなら相手の話をいったん受け止めてください。相手も自分ことを一生懸命考えてアイデアを出してくれています。それに報いないといけません。

「なるほど~!そういうのってアリですね!」「とても参考になりました!」そんな姿勢で臨んでください。相手の話に耳を傾けること。より良いアイデアがほしいのなら励行してください。

会社の環境から離れて考えてみる

会社にどっぷりの生活から離れてみることです。毎日会社に行くのが当たり前の生活。すると自分では気づかないうちに会社中心のものの考え方になっています。

「あの上司はいやなやつ」「部下との人間関係がややこしい」「次のプレゼンはどうしよう・・・」

そんなことが気になるでしょう。会社と決別したいから起業のことも考えよう。でもそこには今まで積み重なってきた会社のことが基盤になってしまっています。

土日に起業のことを考え前向きになろう!と思っている一方で来週の会社のことが気になっていたり、上司に対する不満をもらしたり・・・

そんなときはどうしたらいいか?会社とはまったく違う世界に行ってみることです。セミナーでもいいし、趣味の会でもいい。そして考えるときも自然の中とか場所を変えて考えてみます。会社とは離れた環境に身を置いてみましょう。今までと違う発想が出てきます。

世の中にあるモデルを真似てみる

多くの場合、ビジネスアイデアをイチから考えてしまいがち。実はそんな必要はありません。世の中で上手くいっているモデルを真似てみることです。

もうすでに成功しているものなのでノウハウもあります。そのビジネスがどうやって稼いでいるのかを調べてみてください。そしてそっくりそのまま自分のものにマネてしまいましょう。

そのままだとパクりになるのでは?たしかにそうです。マネをしたものに少しひねりを加えます。自分らしさをオンしてみます。そうやって自分オリジナルのものにしていけばいいです。

ビジネスは世の中でたった一つのもの!と思い込んでいる人が多いです。でもそんなことはまず有り得ません。これだけ物と情報があふれる世の中です。同じアイデアはほぼ誰かが思いついています。

まずはあなたが思いついたビジネスのキーワードで検索してみましょう。関連するビジネスやサービスの情報が画面に一覧で出てきます。その一つひとつを丹念に読み込みながらアイデアを整理する方法です。

起業アイデアは一度自分でやってみる

よくあるのは、今世の中的にこんな感じなので、こんなアイデアがうまくいくんじゃないかと机上で考えてしまうケースです。アイデアとしてはたしかに面白い。でも実践としてどうなるの?という類いのもの。

知り合いに聞いてみると買ってくれそうな人がいるのでいけるのではないかと感じています。ただ、私はこの分野に興味があるだけで、作り方などはやった事がなく知識に乏しいです。だからくわしい人に作ってもらい、その仲介をして手数料で稼ぐビジネスを考えています。どうでしょうか?

例えばこんな感じです。このままだとうまくいきません。まずは自分が作ってみてたのしさを体感しないことには他人に伝えることはできません。

思いついた起業ネタやアイデアを自分でやろうとしていますか?他力本願で組み立てると、どこかで必ずほころびが出ます。まずは、最初から最後まで自分でやってみてください。すべてのながれを体験した上で他人の力を借ります。

アイデアは絞る・とんがる

一度出したアイデアをさらに専門性を上げるために何をしたらいいのか?それが「絞る」「とんがる」です。例えば絵が好きで専門分野を絵に設定したとします。専門分野というのは「私は○○の専門家です」と言える○○をつくることです。「私は絵の専門家です」と言ったとしたら広すぎますよね?

相手がなるほど、どんなことですか?と質問してくるようなものがいいです。それが絞り込みでできるようになります。

例えば、油絵とか色鉛筆画とかといったジャンルであったり、絵を描くこと、絵のコレクションすること、絵の展示場所のことなどいくつかの視点で絞っていきます。その中でもあなたがワクワクする分野を選んでみましょう。

周囲が売れないというものから考えてみる

事例を日経MJ(2015.6.14版)で見つけました。醤油さしでヒット商品をつくっている社長の話です。社長は陶器問屋や窯元が集まる会合で醤油さしのことを話しました。すると周囲の人は「陶器の醤油さしなんて売れないよ」と口々に言いました。

「みんな売れないと思っているなら、だれも作らないから売れるはずだ」

社長は考えました。そして醤油さしの製造販売に力を入れました。結果ヒット商品につながりました。もちろんお客さまのニーズに向き合うたゆまぬ努力があっての成果です。

同じ業界にいる人は考え方が固定化しています。でもお客さまの視点に立ったらまったく違う発想が出てきます。業界の非常識がお客さまにとって重要ということがあります。

「みんなが売れないということは逆に市場がつくれる」逆転の発想がポイントです。そしてそのことをチャンスととらえ具体的行動に変える姿勢をもつことです。

既存ビジネスを見直す

ある日、整体院を営んで3年になる方からの相談を受けました。

場所は激戦地で、私の店から徒歩10分圏内に40件以上の整体院・治療院・リラクゼーション店・整骨院があります。エステ・美容整体サロンなどを入れると50件以上になります。最寄駅から徒歩3分くらいです。今でも2~3か月に1店くらいのペースで、近くに競合店がオープンしています。

ここ2~3年でさらに周りに競合店が増えて、「競争の激化」と「低価格化」が今まで以上に進んでいます。今は、リピーターのお客様が多くそのおかげで営業できていますが、今後長くお店を続けていくにもう1つ軸になるものを作り、そこで他店との差別化を図り、生き残っていきたいと考えています。でもなかなかよいアイデアやヒントが出てきません。そこでどのようにしていけばいいかヒントや知恵、助言をいただきたいと思います。

こんな相談内容でした。新しいサービスの展開方法を考えていきたいという主旨です。新しいサービスという言葉をみて、うん?と思いました。その前に大切なことを見逃しているのでは?ということです。それは「リピーターのお客さまが多い」という点です。

「リピーターがいらっしゃるとのことですが、なぜリピーターになっていただいているのかを深くヒアリングされたことはありますか?競合がひしめく中、貴院を継続して選んでもらえることはすごいことです」

「ここに貴院の他にない強みがあるように思います。新しいことを考える前に今ある軸足を振り返ってみるのも一手です」

こんな回答をしました。リピーターがいるということは大きな財産です。たくさんの中から選んでもらえるのは最大の強みです。窮地に追い込まれてくると人はつい新しいこと、新しいことに目を向けがちです。

でもその前に今自分の周りにあることに注目してみることです。毎日に追われていると当たり前になっていること。その当たり前の中にこそ光るものがあったりします。足元をみることを忘れないようにしたいものです。

まとめ

アイデア出しの方法は多岐にわたります。それらは手法でしかありません。大切なことは「どんなお客さま」によろこんでもらいたいのか?なぜそのお客さまなのか?お客さまは何に困っていてどうなりたいのか・・・土台になるものをしっかりつくった上で、アイデア出しのノウハウを活用していってください。

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