複業

副業ではない複業を具体化するハイブリッドキャリア8つの視点

「今の会社は嫌だから副業を始めたい」「収入が減ったから不足分を副業で補いたい」「副業をはじめて今の給料を超えたら起業したい」こんな相談もある。この考えでは何をやってもうまくいかない。そもそも何のためにやるのかが不明瞭だから。本記事では副業と複業の違い、本当の複業とは何かについてまとめた。

副業は会社依存体質の象徴

サラリーマンをしながら副業する。普通に考えられる方法だろう。でも最終的に自分の足で立ちたいと思うのなら中途半端な状態でしかない。会社がいやだから副業してその場だけ違った気分になる。一時的な逃げにしかならない。

副業するということは会社に依存していることに何ら変わりはない。なぜなら収入の主たる部分を会社の給料で得ているからだ。「自分は独立した生き方を目指している」とどれだけ正論を語っても所詮会社のお世話になっている状態から脱していない。

だから副業は推奨しない。なぜなら副業は会社に依存しているからだ。副業は正と副があるということ。正は今やっている仕事だ。副は今の会社を前提としている。今やっている仕事にプラスしてとかサイドビジネスとしていう意味になる。そんな心持ちならいつまで経っても中途半端な状態から脱することはできない。

副業は働き方の堂々めぐり

アフィリエイト、不動産投資、輸入転売、FX・・・副業という言葉を使う人から必ず出てくるものだ。何か始めたいと思った人なら一度は本を読んだりかじったことがあるものだろう。これらをやることを否定はしない。ただその先にこうなりたいという明確なものがない。多くの場合、副業をしてきたけどこのままでいいのかと思い悩んでいる・・・という結果になる。

副業解禁のリアルな実態

専業禁止という人材ポリシーを掲げる会社。他社に在籍中もしくは自社を経営中といった人が参画する会社。会社の看板を出さない個人で行う仕事を推奨する会社。優れた個人であるほど異なる複数の領域での活躍が当たり前という考えに立つ会社。副業解禁の話題が出たときに出る世の中の先進事例だ。

こうした事例をきくとあたかも世の中が変わってきているかのように思うだろう。働き方が多様化したとかそんな話題だ。でも実態はまだまだ程遠い。日々相談に訪れ、自分で稼ぐ力をつける準備を始める人が最初に一番気にするのが「会社にバレないように」したいということだ。

例えばフェイスブック。それまで会社の人が友達登録しているからバレる可能性がある。どうしたらいいですか?と多くの人が不安になる。実名だとまずいので別の名前で登録する。そんな人だっている。あいかわらずサラリーマンは副業にビクビクしているのだ。

会社はなぜ副業を禁止するのか?会社の情報が漏洩するから、コンプライアンスに支障が出るから、社員のやる気がなくなるから。こんなところだろう。

でも情報漏洩は転職したら同じこと。社員のやる気は会社の評価軸がしっかりしていないから。何ひとつ問題はない。人が余ったからリストラなんて後ろ向きなことをする前に柔軟性を持たせた方がずっといい。

副業を禁止するのなら、会社はひと昔みたいに定年するまで面倒をみてくれるのかということになる。副業は禁止、でもお払い箱になったらクビにする。そんな勝手な言い分はないだろう。副業禁止は働き方や価値観が多様になっているのに旧態依然とした考え方でしかない。

一部上場企業に22年在籍した。その後ベンチャー、中小企業と渡り歩いた。独立起業した。この間でわかったこと。それは一つの会社で見えている世界がどれだけちっぽけなのかということだった。そんな狭い世界だけで人生を終えるなんてとんでもないと感じた。副業禁止なんて言っていたら人生は縮小してしまう。

複業は本業の一つ

複業とは何か?「複数の本業を持つこと。副業のような片手間仕事としてではなく、生業として別の業種を二つ以上兼務すること(コトバンクより)」とある。今勤める会社あっての副業に対し「複業」は本業の一つという位置づけになるものだ。

今の会社の仕事と横並びにして選択肢をつくる。ビジネスとして人とのつながりで相乗効果が出るものだとベスト。根っこの考え方は自分で仕事をつくっていくことだ。

二つ以上の仕事をやればいいのではない

複業を始めるということで別の道のことを手がけた。会社が終わった後、遅い時間まで打合せをしたり作業をする。早朝起き出してプラスオンのことをする。サラリーマンをしながら有意義な毎日を送る。こんなことを言っている人がいる。本当にそうだろうか?限られた時間を削って動いた挙句、パンパンになってしまうのが関の山だ。

仕事を二つ以上持つとパワーが分散する。当たり前のことだ。何のための複業の道を選んだのか軸足をしっかり持っておくこと。複業の先にどんな人生をつくっていきたいのか。複業か単なる手段でしかない。その認識がないと単なる働き方遊びにしかならない。

複業は現業をきちんとやって成立する

脱サラして起業したい。でもいきなり会社を辞めるのは怖いもの。一番の不安は収入がなくなることだ。であれば収入のメドをつけながら少しずつ進んでいけばいい。収入メドをつけながら起業準備していくハイブリッド方式の事例を紹介する。

会社を辞めるとそれまでの固定収入がなくなる。生活を維持していくのにどうしたらいいか・・・本当に起業したいのならどこかで決断しないといけない。わかっているけどそんなにすぐには決められない。二の足を踏む。そうこうしているうちに気がついたら5年、10年・・・多くの人がそうなる。

Hさんは20年近くSEの仕事をしてきた。SEには過酷な労働現場がある。一人で思い悩む人がたくさんいる。行き場を失って路頭に迷う人もいる。そんな悩めるSEを一人でも多く未来へ向けて救っていきたい。そんな熱い思いでビジネスをスタートした。

今までの正社員雇用関係から個別契約関係への切り替えを会社に申し出た。会社側はそれを受け入れ、週のうちの何日かの出勤で業務に携わった。そして空いた日に自分の事業を立ち上げを進めた。週末に自主開催セミナーを100回以上実施し経験と実践を積んでいった。

この形ができたのは、彼が会社にとって必要な人材と認められたからだ。日々きちんと仕事をやってきたからこそ獲得できた立ち位置だ。それができていないなら難しいだろう。今の会社に居ながらにして雇用形態を変えていくハイブリッド方式。サラリーマンから自分で生きていくスタイルに移行する途中段階として有効な働き方だ。

ハイブリッドな働き方は単なる副業とは意味が違う。副業は会社に雇われたままサイドビジネスをする。収入面では会社依存型だ。ハイブリッドは雇用関係を解消し会社と対等な契約関係をつくること。自立と自律が必要になる。会社依存ではいつまで経っても自立はできない。

勤める会社と雇用関係を解消し業務委託契約方式になる。今の日本ではまだまだイレギュラーなことかもしれない。でも雇用側としてどこに視点を置くのかで考え方は変わる。働き方がどんどん多様化する今、どんどん取り入れるべき選択肢と言える。

働き方が多様化できたら生き方も多様化する。人生は一人ひとり違ったものだ。それに対応できる働き方をつくっていくことが急務になっている。

副業OKを勝ち取った事例から学ぶこと

サラリーマンをしながら自分で稼ぐ力がつけたい。でも副業がバレるとこわい。どうしたらいいのか?みんな思案に思案を重ねている。そんな中、会社に辞意を伝えたら副業を認めるから残ってほしい、週4回出社して報酬をもらいながら堂々と副業をやってきた人もいる。

Iさんは3年間の起業準備期間を経て離陸を決意。会社に起業するから退社させてほしい旨を伝えた。普通ならそのまま受理されるのが世の常。ところが彼の場合は驚くことが起こった。数日後、会社から副業を認めるから会社に残ってほしい。フルタイムでなくてもいいので出社してほしい。報酬も今まで通り支払う。そんな逆転の申し出があった。ありえない話だろう。

これはIさんが会社に必要とされている人材だったということを物語っている。今いる会社で最大限の力を発揮して慰留を求められる存在になる。ひいては自分主体の働き方の選択肢をつくる。サラリーマンから自律していく後輩たちに大きな勇気を与えてくれた。Iさんはその後独立起業。今では出版したりメディアに出演したり大活躍している。

本当の複業=ハイブリッドキャリアを志向しよう

将来的に自律していきたいのなら、まず会社依存の考え方を捨てることだ。目指すはハイブリッドキャリアだ。ハイブリッドキャリアは今の仕事をしながら、自分らしく働いていけるもう一つの柱を立てていくことをいう。自分で稼ぐ力をつけていく準備をしていく。目的は自分の人生をつくる働き方に変えていくためだ。

手間を掛けずにラクして儲けようなんて発想は捨てよう。そんなものは長続きしない。そもそも何のためにその働き方を選ぶのか?自分の人生に拡がりや厚みを持たせること。見える景色を変えていくこと。自分らしく生きること。副業ではなく複業。本当の意味合いをおさえておこう。

まとめ|働き方は多様であっていい

世の中はどんどん変わっている。それに合わせて働き方は多様になっていって当たり前だ。働き方の選択肢は多いほどいい。組織やしがらみで押さえつければその人個人の魅力が埋没してしまう。人には多面性がある。一面的にしかみない会社の評価だけで働き方を決めてはいけない。自分の個性が最大限発揮できる働き方とは何か。大切な基軸はここしかない。

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