働き方改革は企業と働き手両方がハッピーになってできること

本当の意味で働き方の現場を改善していくにはどうしたらいいのか?日経MJの2018.3.30版に物流業界の働き方改革の事例が掲載されていた。本記事ではその引用の中から働き方を変えていくことに必要な要素を紐解いてみた。
一つ目の事例はバスにお客さまと野菜をあいのりするというもの。岐阜県高山市と新宿を結ぶ高速バス。バスの荷物を入れるスペースにすき間をぬって地元野菜が載せられる。野菜は翌朝東京のスーパーに届けられる。インバウンド需要が増す一方で顧客獲得合戦は熾烈になる。観光以外の分野での取り組みが課題だった。
もう一つはタクシーに宅配便を掛け合わせるというもの。一定のルートを行き来する途中で宅配会社に立ち寄り路線周辺の荷物を配送している。郊外に住む運転ができないお年寄りの足として欠かせない存在である一方、空車になるときの対策が必要だった。
いずれもドライバーの人手不足という問題から出てきた新サービス。企業側の視点から出てきた試みと言える。ビジネスとして貨客混載を生かして考えられた秀逸なもの、仕事は効率化できたように見える。でも肝心のドライバーの負担は増えるばかりだ。
「以前は月25万円くらいだった手取りが35万円を超えるようになった。土日も休める」荷主と運送事業者をマッチングする新しいサービスを利用しているドライバーの声だ。従来は運送会社が仕事を下請け孫請けで運送事業者に依頼する仕組み。中間マージンが膨らみドライバーの実入りは削られていた。
軽貨物運送事業者の平均収入は月20万円前後。ネット通販が普及することで宅配需要は増えている。でも現場ではこんな賃金体系なのだ。「ドライバーの収入を増やさなければ社会のインフラが成り立たない」「働く人に正当な対価が残らない仕組みが人手不足の背景にある」これはドライバーと荷主を直接つなぐ新サービスを始めた社長のコメント、説得力がある。
働き方改革では生産性向上という名目でとかく企業側の視点が取り沙汰されている。でも本当の意味で働きやすい場をつくるには雇う側だけの改善ではうまくいかない。雇われる側つまり働き手もハッピーになる環境づくりが必須になる。物流業界の事例を知ることで改めてそのことに気づかされた。
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